Netflix ドラマ『D.P.－脱走兵追跡官－』感想とまとめ

Netflix配信の話題ドラマ『D.P. －脱走兵追跡官－』が話題を集めている。D.P.とは「Deserter Pursuit（軍隊離脱者追跡）」の略で、脱走兵を逮捕する特殊部隊のこと。兵役義務によって入隊した二等兵の안준호(アン・ジュノ)と上等兵の한호열（ハン・ホヨル）が「D.P.」の任務を授かり、様々な理由により脱走した兵士たちを追います。

このドラマはキム・ボトンのウェブ漫画「D.P.개의 날」が原作となっています。ここでの「개의 날」は直訳すると「犬の日」となりますが、意味的には「暑くて長い夏の日」を指しているそうです。

予告編動画

シーズン1〜エピソード一覧

1. 「花を持った男」
2. 「一場春夢」
3. 「その女」
4. 「モンティ・ホール問題」
5. 「軍用犬」
6. 「傍観者たち」

厳しい軍規が描くリアルなドラマ

大韓民国の男子は法の定めるところにより兵役の義務を遂行しなければならない

大韓民国兵役法 第3条

韓国には徴兵制度があります。韓国男性は満20～28歳の誕生日を迎える前までに病気や特別な事情がない限り、軍に入隊することが決まっています。
このドラマで描かれているように軍での規律は厳しく、絶対的な上下関係があります。中には壮絶ないじめや自殺、暴行死、乱射事件などが実際にありました。
このドラマ設定は2014年になっており、その年の前後に起きた実際の事件をベースに描かれていると思われます。

登場人物（大韓民国陸軍 第103歩 兵師団憲兵隊）

• 二等兵：アン・ジュノ（チョン・ヘイン）
• 上等兵：ハン・ホヨル（ク・ギョファン）
• 中士：パク・ボムグ（キム・ソンギュン）
• 大尉：イム・ジソプ（ソン・ソック）
• 兵長：ファン・ジャンス（シン・スンホ）
• 一等兵：チョ・ソクポン（チョ・チョンチョル）
• 憲兵隊長：チョン・ヨンドク（ヒョン・ボンシク）

韓国のドラマをみていつも感心するのは

1. ストーリー（脚本）がいい
2. コメディ要素が入っているので飽きずにみられる
3. 俳優陣の演技力の高さ

です。
①のストーリーに関しては実際にあった事件を彷彿とさせるリアリティさとスピード感があり、最終回まであっという間でした。
②のコメディ要素では、笑顔の少ない実直なアン・ジュノとひょうひょうとした性格で明るいハン・ホヨルの真逆とも言える二人の掛け合いが面白い。シリアスなストーリーなのに思わず笑ってしまうシーンが時々はいるのも韓国のドラマや映画にはよくある特徴だ。
③の俳優陣の演技力の高さは、実際にドラマを見ていただければわかると思うが、特に目を引いたのはオタクと呼ばれている一等兵チョ・ソクポン役のチョ・チョンチョル氏だ。１話から登場する重要な登場人物である。彼の温厚さが徐々に壊れていく様子が怖すぎて目が離せなかった。その狂気のなかにも戸惑いや情が垣間見えて本当に演技がうまい。感情移入してしまい思わず泣いてしまったほどだ。

１～６話までの総時間は290分、約5時間である。連続ドラマとしては短い方に入るが、あまりの面白さに秒ですぎる感覚なぐらい面白いドラマでした。

ドラマ上の年齢と実年齢のギャップが話題に

このドラマではまた違う面白いエピソードがある。ドラマ中の階級順と、出演俳優たちの実際の年齢順が違いすぎると話題になっていた。ドラマでの階級順と実際の年齢順を並べると以下の通り。

Netflix韓国作品最高傑作との声も

韓国の映画評論家でコラムニストのキム・ドフン氏は「批評家の間でも非常に評価が高く、Netflixの韓国オリジナル作品の中でも最高傑作との声が挙がっています。ハン・ジュニ監督は兵役の暗部について、韓国では誰もやったことのない限界に挑戦しています」と評価しています。
また韓国の軍組織に限らず、日本の自衛隊などでもいじめや暴行、自殺者があり、学校や職場でも起こりうることだと思います。第6話「傍観者たち」の題名は事件を傍観するだけで何もしなければ加害者と同じである、と痛烈に批判されたようで考えさせられました。
人気の高いドラマなのでシーズン化されると思われます。シーズン2の詳しい情報はまだありませんが、さらに期待できる作品になるでしょう。