「ゲーム依存障害」WHOが認定の実態と対策(セルフチェック付!)

ゲーム依存障害を国が認定

世界保健機関(WHO)は、ゲームのやり過ぎで日常生活が困難になるゲーム障害を新たな疾病として認定。依存症の一つとして、国際疾病分類に加えた。スマホの普及による世界的なゲーム依存が背景にありそうだ。
ゲーム障害は依存症であり、日常生活に障害をきたす精神疾患で、ゲームをしている人の2~3%がゲーム障害と考えられる。これまでは正式な病名はなかったが、国際的な基準となる国際疾病分類に盛り込むことで、治療法確立が期待される一方、ゲームファンに強い衝撃を与えている。

「ゲーム依存は精神疾患」を伝える新聞
「ゲーム依存は精神疾患」を伝える新聞

「ゲーム障害の相談増加」を伝える新聞。

その「ゲーム障害」について、実態と対策についてまとめます。

ゲーム依存を「ゲーム障害」の精神病として認定し国内に衝撃走る

WHOは、オンラインゲームのやりすぎで日常生活にも悪影響が出るゲーム依存について、「ゲーム障害」という病気として新たに認定。WHOは「ゲーム障害」について、

ゲームをしたい衝動が抑えられなくなり、日常生活より優先し健康を損ねるなど問題が起きても続けてしまうという特徴がある

と、定義。

WHOの決定を受け 、日本でもCESA(コンピューターエンタテイメント協会)が対策の検討を始め、任天堂なども参加し専業の作業チームをまとめ、業界としての対応策をまとめる方針だ。
菅官房長官は記者会見で「まずはその実態について調査・研究を行い、その結果を踏まえ対応をしっかりして行きたい」とした上で、ゲーム産業はクールジャパンの重要な産業の一つで成長分野と強調。

対戦型のコンピューターゲームを競技として行うEスポーツが注目を集めるなど、娯楽として、産業として、競技としても市民権を獲得してきたゲームだが、最近ではネットやスマホの普及で、世界的に問題になっているのが現実。ゲームとの適切な付き合い方を、インターネット依存やギャンブル依存、アルコール依存などの研究、そして「スマホゲーム依存症」の著書で知られる久里浜医療センター委員長・樋口進さんのラジオコメントからまとめました。

国内のゲームユーザー、ユーチューバーの反応は主に、「おおげさ」「いまでも自分は普通。成人病とは違う」「直ちに悪影響を及ぼすものではない」といった、自分は違う的なコメントが多く見られる。がそのような楽観視でいいのだろうか。麻薬と同じ反社会的な病(やまい)として「ゲーム障害」が流行しそうに思えてならない。しかもアルコールやタバコと違い、精神疾患、つまり精神病である点でこのWHOの認定のニュースは重い。

ゲーム依存の治療には、ゲームから離れて、ゲームの影響を最小限にするために、キャンプ治療が効果的だという。

ゲーム依存注目の背景に、ゲームのオンライン化

オンラインゲームの登場で、依存性が高くなった。オフラインゲームには終わりがあったが、オンラインによってエンドレスになった。新しいマップ、新しいコスチューム、新しい武器など次々と登場するアイテムで、終わりなくなった。相手がいてコミュニケーションができることで、期待に答えようとしたりすることで、のめり込みやすくなったことが、ゲーム依存注目の背景にあった変化だ。

依存性が高いと思われるゲームタイトル

FPS(一人称型ゲーム)といわれる戦争ゲームに多い。代表としてあげられるタイトルは下記の通り。

  • マインクラフト(ブロックで家を作ったり戦ったりするゲーム)
  • スプラトゥーン(水鉄砲ゲーム)
  • 荒野行動(戦争サバイバルゲーム)

(参考:TBSラジオ「荻上チキSession-22」7月11日(水)放送より)

それ以前はファイナルファンタジー等のアドベンチャーゲームが依存の代表だった。FPSゲームやこれらのゲームに夢中の人は、のめりすぎないよう自分を見つめ直してみよう。
ゲームがタバコ依存のように言われる時代がきた
ゲームがタバコ依存のように言われる時代がきた

ゲーム依存症の人は日本にどれくらいいるのか?

ゲーム依存の疫学調査はないが、インターネット依存について2012年に行ったの10万人の子供を対象にした実態調査によると、全体の7.9%=52万人(男の子6.4%、女の子9.8%)にインターネット依存の疑いがでた。(成人は420万と推計)

2012年の調査では、この中でゲーム障害がどれほどの割合であるかは、わからない。

窃盗マニア、アルコールマニア、などの疾患に近いのかの調査には、ゲーム障害の場合も窃盗、アルコール依存にある依存特有の症状(落ち着かない等の禁断症状)がにている点で、「依存」の中に入れたとのこと。追跡調査データも少なくまだまだ調査が必要だが、エビデンス(知見)を重ねることが重要。

ゲーム依存の段階的特徴

  1. ゲームが楽しい
  2. ゲームのために昼夜逆転
  3. ゲームが現実逃避の道具に
  4. ゲーム依存
この段階的変化は、薬物、アルコールなどの依存の過程とよく似ており、同じ依存症として分類することが望ましい。自分を客観的に見つめ直し、のめりすぎたり、現実逃避にならないよう心がけたい。

ゲーム障害セルフチェック

ゲーム依存度のセルフチェック10問

スマホゲーム依存症」の著書で知られる久里浜医療センター委員長・樋口進さん著書からセルフチェックリストの短縮版を下記に用意しました。もしゲーム愛好家で、ゲーム依存かも?と思う方はトライして見てください。

「アメリカ精神医学会」2013年に発表した、診断と統計のためのマニュアルに上記「インターネットゲーム障害」の記述があり、こと時には既に「インターネットゲーム障害」の概念ができていた。その調査方法を元に下記セルフチェック化した。
  • 【A】まったくなかった
  • 【B】時々あった
  • 【C】よくあった

の3点で下記の10問に答えてください。

No 質問 Check
1 ゲームをしていないときに、どれくらいゲームのことを空想したり思ったりすることはありますか?
2 ゲームがまったく出来なかったり、いつもよりゲーム時間が短かったとき、どれくらい頻繁にイライラしたりソワソワしたりしますか?
3 過去12ヶ月間で充分ゲームをしたと感じるために、もっと長い時間ゲームをする必要があると感じたことはありますか?
4 過去12ヶ月間でゲームをする時間を減らそうとしたけど、うまくいかなかったことはありますか?
5 過去12ヶ月間で友人に会ったりするより、ことよりゲームをすることを選んだ事がありますか?
6 睡眠不足や仕事が捗らない、または、大切なことがあるにもかかわらず、長時間ゲームをしたことがありますか?
7 自分がどれくらいゲームをしていたかについて、家族や友人らにバレないよう嘘をついたことはありますか?
8 嫌な気持ちを晴らすためゲームをしたことはありますか?
9* ゲームのために大切な人間関係を危うくしたり、失ったことはありますか?
10* 過去12ヶ月間でゲームのために学校での勉強や職場での仕事がうまく出来なかった事はありますか?
*9、10の問いはどちらかでよい。(つまり、9問でよい)

採点方法

  • 【C】よくあったが5つ以上あった場合は「インターネットゲーム障害」。
  • 【C】よくあったが3つあった場合は「インターネットゲーム障害」が疑われる。

ゲーム依存のきっかけとは?

  • 実生活がいかに充実しているかが影響(学校の成績が悪い、クラブ活動が楽しくない)
  • コミュニケーションがうまく取れないケース(現実逃避としてゲームに向かう)

その他のリスク要因

  • もともとゲーム時間が長かった、ゲーム好き
  • 周囲がゲームを容認する傾向が強い
  • ご両親がゲーム好き
  • 両親が不仲、離婚している
  • 衝動性が高い、我慢ができない
  • 注意欠如多動性の傾向がある(不注意、忘れ物多い、など)
【ただ、ゲームが非社交的言えない一面も】
最近では、オンライン化されたことで賞賛され友人ができると、ゲームがコミュニケーションの訓練になる一方で、それがあるがゆえに現実の友達を作ろうとせず、リアルに対し著しく消極的になり、ゲーム以外の世界へのエンパワーメントにならないジレンマ。

ゲームによる脳へのダメージ、影響、ゲーム障害

スマホゲーム依存症」著者・樋口進さんの研究によると、MRIでゲーム障害のある子どもたちを統計的に調べると、いくつかの部位で脳が萎縮しており、そのことに対して学会ではいろんな所で論文が出ている。だが、なぜそうなるか、睡眠パターンが悪いのか、食生活が悪いのか、日常的なストレスか、などの詳しい因果関係についての研究はまだなく、今後の課題。

ゲーム依存になった人の実例

ゲーム依存になった人の実例

hogeさん(30代)

僕は、据え置きゲームは手放したんですが、スマホゲームで同じゲームをしている人たちとのコミュニケーション依存症だと自覚しています。現実世界の人付き合いが希薄な一方、ゲームで繋がった関係は、圧倒的に密なんです。

参考として、hogeを例にゲームの生活について質問と答えを表に記したもの。

質問 返答
ゲーム名 コロニーな生活
プレイ頻度 仕事以外の時間はほぼしている
依存期間 3、4年
課金 月5万以内の範囲(通算、100万円を超える)
このゲーム気持ち良さとは 頼られる嬉しさ。チーム全体が強くなる楽しさ
GPSあるか プレイヤー位置情報と連動あり
ゲーム仲間 10〜20人程度
仲間と食事中にゲーム する
セルフチェックは? Cx5、Bx4(インターネットゲーム障害である)
自己制御は? できてない
その根拠は? 課金増を減らせない自分に気付いた時
ゲーム上の諍い ゲーム上で他人と仲良くなり疑心暗鬼になり

金井君(10代)の例

中学時代運動部で活躍。その頃からゲームが好きで遊び程度に適度に。その後、高校でも運動部に入りましたが、人間関係に悩み部活動から離れゲームで遊ぶ時間が増える。特にオンラインゲームにハマり、ネット上の友人とゲームをしたり実況動画をみたりして深夜まで遊ぶようになりました。夜更かしが続き朝起きられず学校を休むことも増えましたがそれでもゲームがやめられず、昼夜逆転の生活状態に。心配した家族が、「夜はネットをOFFにしよう」と提案したが「友達と縁を切れというのか」と金井くん反発。家族に暴言を吐き、ゲームをやめることができませんでした。

これは病院で拝見する典型的なゲーム依存の例と言える。時間が増え、昼夜逆転、暴言・暴力。本人に随分働きかけている点で、こういう状況になってしまった時は家族だけで解決しようとせず、学校や友達など家族以外の誰かに間に入ってもらい解決すべきだ。(久里浜医療センター委員長・樋口進さん)

結論:日本のゲーム依存、今後の課題は?

最後に、久里浜医療センター委員長が語る、ゲーム依存障害が進む我が国で、今後取り組むべき3つの課題とは何か。

  1. 実態を明確にすべき
  2. 予約がとれないほど患者が多い背景から、医療の整備、相談所の整備を充実化
  3. ゲームとうまく付き合う教育、予防教育をしていくべき

WHOの本文では「Disorder」と表記されており、「精神障害」というニュアンスで、「ゲーム依存」「ゲーム障害」の印象よりも強い精神疾患の意味合いが強くなっている点で、その深刻度がわかる。

文化への影響】アルコール、麻薬、などに代わって新たに加わった「精神障害」を伴う依存症として今後ニュースを始めテレビや映画、小説などで、かつて麻薬患者を描くようにゲーム障害患者が取り上げられそうだ。
その文化的影響については別の機会に

参考:TBSラジオ「荻上チキ Session-22 」(2018.7.11)放送

ゲーム依存症に関する動画

この記事を書いた人

生活技術

忙しい生活をまとめてシンプル。新しいライフスタイルを提案するネットマガジン「生活技術」の編集長です。記事へのコメントはご遠慮なくどうぞ。気になることやご不明な点などありましたらお問い合わせフォームからご連絡ください。

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